2011年3月11日

この度の大震災について・・・

 2011年3月11日。

あの日の僕は都内のハウススタジオで撮影だった。

地震の直前、機材をとりに外のコインパーキングに停めてあった自分の車にいた。

たまたま前を通りかかったモデルさんと立ち話をしているところにあの大地震が起こった。

これまで体験したことのない大きさと長さに驚きながら、彼女とともに車の中に避難。

迅速に携帯のTVをつけてくれた彼女のおかげで震源は東北地方であることを知る。

彼女は親御さんに、僕は妻に電話をかける ・・・ 全くつながらない。

他のスタッフと合流しよう、とスタジオに戻った。

スタッフ全員外に出て、みんな携帯片手に呆然としていた。

この時点では、あの想像を絶する津波や原発クライシスが起きることを誰も知らない。

この日の撮影はムービーのチームとジョイントだったが、揺れては仕事にならない彼らは早々に撮影中止を決定。リスケジュールの話し合いをしていた。一度は撮影全て中止との雰囲気だったけれど、編集者の方から 「スチール撮影は決行でいいでしょうか?」と聞かれ、僕は承諾。余震も頻繁にあったし、残った出演者、スタッフ全員不安を抱えていただろうし、決してまともな撮影ではなかったと思う。それでも夜までには必要なカットをなんとか無事に撮影。異様なテンションの中、最終カットのシャッターを押した後は全員で拍手。

出演者のマネージャーの方の車と僕の車に分乗して、それぞれが帰途についたが、皆さん大変だったらしい・・・僕の帰りの車中からも、環八・246とずっと歩いて帰る人々の行列が続いているのが見えたし、それら歩く人のスピードの方がノロノロ進む車よりも速かったりした。たまプラーザの事務所に着くと、イラストレーターの原裕子の他に、梶ヶ谷にある会社からバスと徒歩で僕の事務所にたどりついたY嬢がいた。彼女の話では携帯の電源が切れ、必要な連絡もままならず、青葉台にある自宅まで帰る交通機関もなく・・・ほとんど難民状態。Y嬢はウェブデザイナーで、当社のHPを担当してくれている。梶ヶ谷のビルはものすごい揺れで、生きたここちがしなかったそう・・・。本当に恐ろしい目にあった、心細い思いをした、という表情。その日撮影したデータをPCにバックアップした後、原とY嬢を送ってから自宅に戻った。深夜になっていた。

あれから12日間の時が過ぎた。

今日になってもまだ多くの行方不明の方々がいる。

物資の届かない地で避難生活を送っている方々がいる。

原発クライシスに命がけで立ち向かっている現場の方々がいる。

この状況に対して、何をつぶやけばいい?何をすればいい?

この2週間ずっと自問しながらも、日々の仕事や生活といった日常に流されて

毎日をヘラヘラとやり過ごすことで精一杯だった気がする。

被災地の方々へのお悔みやお見舞いの言葉はみつからない。

テレビに流れるACの広告を見てイライラするのは僕だけだろうか?

「私たちに今出来ることは、募金と節電です」とラジオから聞こえてくる。

そう、募金はする。節電をこころがける。それらはする。

▼日本赤十字社

▼Yahoo!基金

「みんなの心をつなげよう」とDJが言う。僕はチャンネルを変える。

「不謹慎との声もありますので、4月の花見は中止といたします」 ・・・・・

いち写真撮りである僕に出来ることはおそらく、無理にでも平静をよそおい、淡々と仕事に集中し、出来れば明るく日々の生活を送ることなんだろう。そんな僕のように無力な個人の生活の集積こそが、時のうつろいの中で、目に見えない力となってこの国を元気にするんじゃないだろうか。諸外国からのメッセージを耳にするたびに世界における日本の存在感が大したものであることを再認識する。「がんばれ日本!」のエールはワールドカップやオリンピックよりも、まさにこれからの我々のためのスローガンなんだろう。

Y嬢は9月に結婚式を挙げる予定。

僕もその日の撮影を頼まれている。

平安でおめでたい9月の一日となりますように・・・

真冬のように寒い日が続いているけれど、

一日も早くあたたかい季節がやってきますように

春を待ちながら・・・

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